呼魂太鼓

呼魂太鼓は千葉県柏市を中心に活動をしている和太鼓集団です

TEL:04-7139-4183


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〒277-0072 千葉県柏市つくしが丘1-14-6(本部)

太鼓講座
吉田明弘の太鼓講座

この太鼓講座は、小中学校の先生方への講習の為に作ったテキストを改定したもので す。太鼓の芸能は、地方の伝統と結びついたものが多く、「これが正しい太鼓の打ち 方である」というようなことを書くことは不可能です。しかし、学校の授業に取り上 げられるようになる以上は、ある程度の基本というものが必要になると思います。そ こで、様々な太鼓の打ち方の中でも共通して言える事、そして、これを押さえておけ ば、その応用として様々な打ち方へ発展していけるし、新しい打法を創作する際にも 参考になるという、ごく基本的なことに限定してお話したいと思います。もちろん、 学校の先生以外の方にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。


 目次

第1回「和太鼓とは
第2回「基本打法と応用打法
第3回「練習法について
第4回「太鼓のメンテナンス
第5回「練習台の作り方


第1回「和太鼓とは」

1.生活の中での太鼓

 打楽器は、歴史的な古さから言うと、笛と同じかそれ以上に古いと推測され、構造 的には最も原始的な楽器と言えるでしょう。世界中の太鼓の使われ方を見ると、太古 には、通信手段として使われ、時には、獣や害虫を追い払うために使われり、それが 災いを追い払うためや、祈りとなったりしながら芸能へと発展したものもあります。 笛や太鼓は、歌と共に、最も生活と密接に結びついて発達した音楽であるといえるで しょう。

2.日本の太鼓

 西洋音楽における打楽器の役割が脇役的なのに対し、日本の音楽では、楽器の役 割はかなり重要な位置をしめます。これは、風の音やせせらぎの音を
音楽と同じ領域 で認識するという日本人の脳の特徴とも関係があると思われます。
 太鼓だけで舞い踊る芸能も数多く存在しますし、能楽や歌舞伎でも打楽器は無くて はならない存在です。特に歌舞伎の下座における太鼓の役割は大変重要で、学校の授 業などには、ぜひ取り上げていただきたいものの一つです。風の音、雨の音,川の流れ の描写、波打ち際の描写、静かに降る雪、雪崩、果ては幽霊や妖怪まで、ほどんどの ものを太鼓で表現してしまいます。特に雪の描写などは、静まり返った様子を太鼓で 表現してしまうのですから驚きです。私の考えでは、今のように防音設備などなく、 小屋がけで周りの騒音が聞こえる中で、静かに打つ太鼓の音は、余計な騒音を消し、 静寂の中に心臓の鼓動だけが聴こえてくるような効果をもたらしたものだと思いま す。(まさに、「しずかさや いわにしみいる せみのこえ」の世界です」 こう いった日本音楽の(特に太鼓の音色に対する)独特な感性は、日本が世界に誇るべき 文化であると思います。
 これは、他の楽器(尺八や三味線、琵琶など)についても同じような事が言えま す。西洋音楽では雑音として扱われるような音を、日本の音楽では「さわり」などと 言って重要な表現手段の一つとしてします。太鼓指導の際は是非、この日本の音楽の 感性についてもお話頂ければと思います。

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第2回「基本打法と応用打法」


1.基本打法

 残念ながら、これが和太鼓の基本打法であると言えるものはありません。 というのは、和太鼓がそれぞれの地方で、独自の芸能として育ってきたという背景があるからです。
 ですから、この打ち方が基本ですとは言いにくいのです。しかし、教育現場で取り上げる場合などは、 基準が必要になります。私は、「打楽器」という観点から、次の3点を挙げてみました。

(1)無理のないこと。
    芸能によっては、表現方法の一つとして、かなり
    無理な打ち方をしている場合がありますが、これ
    は基本から外して考えます.

(2)合理的であること。

    より少ない力で、より良い音が出せることが基本
    であると考えます。

(3)簡潔で、安全であること。
    (1)(2)とも関連しますが、自然な動作というもの
    は、見た目にもすっきりしていて、ケガや故障の
    少ない安全な動きに通じると考えます。 


 これらを一言で言うと「自然な動き」ということになります。スポーツでも何でも、上手な人の動きは自然で無理が無く、見た目にもきれいです。上手な人のバチ先の動きを観察して見て下さい。バチ先は直線でなく、弧を描くように円運動をしていることが解るでしょう。正面から見たときは垂直に真っ直ぐ打面に向かっていて、横から見ると円を描いてバチがしなっているように見えるはずです

 これを図にすると下図のようになります。これは、剣道における竹刀の振りや、釣りざおのキャスティング、鞭の振り方など、棒状の物を降る場合に共通した動きです。
 このバチの振り方を習得するには、締太鼓から始めるのが一番良いのですが、それは続編「太鼓上達講座」で詳しく説明します。 文章で説明すると難しくなってしまいますが、バチを振り上げる時は、手首の力を抜いて、ひじを少し前に出すようにして振り上げ(写真①)、振り下ろす時は、ひじからほどけるように落ち始め(写真②)、ひじ→手首→バチ先の順に落ちていき(写真③④⑤)、バチ先が太鼓の打面に当たる瞬間に向けて加速していきます。太鼓の音は、力の強さではなく、バチの材質と形状と重さとバチ先の速さで決まります。ボディビルで鍛えた人よりも非力な小学生の方が良い音を出したりするのはそのためです。






2.応用打法

 熟練者の打ち方を観察すると、どのような形で打っても、バチが太鼓に当たる瞬間は[基本打法]で説明した打ち方にかなっています。つまり、どんな種類の打ち方をする時も、バチが打面に当たる瞬間のバチ先の軌跡をチェックすれば、良いうちかたか悪い打ち方かがわかります。良い打ち方は太鼓にもやさしい打ち方になります。打面に擦り傷の様な跡があれば、それはバチが打面に斜めに当たっている証拠です。真っ直ぐに点で当たっていれば、打面はつるつると光ってきます。こするような打ち方は、皮の表皮を剥ぐような事になり、皮の寿命を縮めます。(上手な人の打つ太鼓は長持ちします。皮を破いて自慢しているような人がいますが、自分の下手さを宣伝しているようなものです。)
 以上の事をふまえて、色々な打ち方に挑戦してください。代表的な打ち方をいくつか紹介します。比較的容易な順から、

(1) 地面(平置き台)に置いた太鼓を上から真っ直ぐに打ち下ろす。
(2) 折り畳台に乗せた太鼓を、斜め上から打ち下ろす。(正面からと側面からとの二通り有り、側面から打つほうが難しい。)
(3) 櫓台に載せた太鼓を、正面から向かって打つ。(拝み打ち、鏡打ちなどと言う事もある。)など。

 他にも色々ありますが、決まった打ち方は無いので、新しい打ち方をみんなで創作してみるのも面白いでしょう。

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第3回「練習法について」


1.姿勢
太鼓の練習をする際に、一番注意しなければならないのは姿勢です。

 基本打法の章で、最初は締太鼓から始めるのが良いと書きましたが、締太鼓の場合 は特殊な姿勢で打つことがあまり無く、大体正面から立って打つか座って打つかと いった違いくらいですから、基本を習得するには一番良い方法です。この場合、注意 すべき点は、打点が大体へそ位の高さで、腕はひじが身体より少し前に出る位(思っ たよりも太鼓との距離があるかもしれません)の位置になるようにすることです。ひ じが身体の脇に着いてしまうと、ひじの動きが悪くなります。このことに注意して練 習してください。これで、腕の振りは良くなるはずです。

 しかし、太鼓を打つ上で忘れてならないのが、下半身の動きです。座って締太鼓を 打つ場合も同様で、腰が全く動かないような打ち方ではノリのある太鼓は打てませ ん。これは、大太鼓での練習の方が習得しやすいでしょう。締太鼓の姿勢に一番近い 「応用打法」の(1)の打ち方を例に、構え方の説明をしておきましょう。
左(右)足を前に(つま先が内側を向かないように) 右(左)足を後ろに引き(真横でも可)、斜めに構えます。太鼓が低く、傾きが少ないほど横へ広く、 高さと傾きがある時は前後に開くようにすると様にすると良いでしょう。腰を落として重心 移動が楽な歩幅を確保します。
腰を正面に向くようにし(へそが横を向いてしまわないように)、腰を落として 上体を起こします。(子どもを指導する場合には、「へそ曲がりにならないように」 などと言ってやると良いでしょう。)
これを、二人一組になって、向かい合い、両手を互いに合わせて「押し合い」を します。押されても引かれてもぐらつかないような腰の構えが出来れば、これが理想 的な下半身の構えとなります。

2.バチの持ち方

 バチの持ち方はバチの種類や打ち方によって色々有るようですが、一般的には、 3分の1の所を親指と人差し指ではさむように持ち、他の指は添えるようにするとい うのが標準的なバチの持ち方といえるでしょう。
(この3分の1というのは、打楽器をやっている人には経験的に納得のいく数字です が、物理学的にも計算できる数値だそうで、手に受ける衝撃がより少なく、より大き なより良い音を出すためのベストポジションがこの3分の1という場所になるのだそ うです。→詳しく知りたい方は、こちらをご覧下さい。)

 どのような持ち方をするにしても、共通して言えるのは、「握り締めてはいけな い」という事です。「手の中の卵を握りつぶさない位の力加減」などと私は言ったり しますが、どうしても「太鼓は力で打つもの」という先入観が強く、強く握り締めて しまいがちです。バチを握り締めてしまうと、肝心なバチ先のスピードが落ち、バチ もすっぽ抜けやすくなります。軽く持った方が「バチがすっぽ抜ける」ことは少なく なります。特にフチ打ちを多用する場合、握り締めて打つと耳障りな音がするだけで なく、太鼓もバチも傷み、手にもマメが出来やすくなります。上手な人はめったにマ メなど作らないものです。




図3 バチの持ち方

次のような方法を実践してみてください。

先ず、バチを強く握り締め、力を込めてバチとバチを打ち合わせます。
次に、手の中でバチが遊ぶように軽く持ち、軽くバチとバチを打ち合わせます。 すると、強く握り締めた時と違って、明るく響きの良い音が出ます。良い音を出すた めには、軽く持って軽く打つ方が良いという事をこれで体感します。

3.腕の構え 

 腕の構えは、正面の場合(締太鼓も)、先ず腕を真っ直ぐ前に伸ばし(この時、 肩からバチ先までが一直線になる様にすると良い。)、次に自然にひじが緩む感じで バチ先を合わせ、腕全体大きな卵を抱えるような感じにします。能や仕舞、太極拳な どの基本姿勢をイメージすると良いでしょう。

 腕の振りは、「ひじから振り上げ、ひじから落とす。」と覚えてください。ひじは 意識しないと、動きが止りやすいのです。そして、全体のイメージとしては、「ムチ のしなりの様に」打つ。言葉にすると難しく聴こえるかもしれませんが、「つま先の 力が腰に伝わり、腰に蓄えられたエネルギーが腕へと伝わり、腰→肩→ひじ→手→バ チ先がムチのしなりの様に連動し、バチ先に集められたエネルギーが太鼓へ注ぎ込ま れ、音という波動エネルギーとなって聴衆に届けられる。」という事になります。

 以上の事を実践し、バチ先の動きが(大きな動作で打つ場合は、腕全体の動きが、 イメージとしては体全体が)[基本打法]の図のようになっていれば大体正しい打ち 方になっていると思います。

※ もう一つ、良い音を出すためには、バチ先のスピードとタイミングの問題があり ます。それには、手ぬぐいを使った練習をしてください。手ぬぐいの端を持ち、バチ を振るのと同じ動作をします。これで、手ぬぐいがムチの様な動きをし、[基本打 法]の図で言うと、手前で加速の始まる場所、自分の耳の近くで「パシッ」という軽 い音を立てるようになればOKです。この時も、ただ力を入れるだけではうまくいか ないことが体感できるでしょう。

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第4回「太鼓のメンテナンスについて」

 木と皮とで出来た太鼓は見た目とは反対に非常にデリケートな楽器です。そして、 とても高価な物ですから、保管や手入れに気を付けて大切に使いたい物です。保管場 所や手入れを怠ると寿命を短くするだけでなく、音も悪くなります。上手な人ほど楽 器やバチや道具を大切にするのは言うまでも有りません。

先ず保管場所ですが、一言で言うと「急激な温度・湿度の変化の無い、風通しの良 い所。」と言うことになります。直射日光やエアコンの近くなどは避けなければいけ ません。乾燥や湿気で胴が割れたり歪んだりすることがあります。皮も乾燥によって 表面がカサカサしたり、湿度によって緩みが出たり、ナメクジが這うことがありま す。雨などで濡れたまま打つようなことは厳禁。緩んだ皮はもう元には戻らず、張り 替えなければなりません。皮が濡れてしまったら、乾いた布で表面の水分を取り、陰 干しして下さい。湿気が向けるまではバチで叩いたりしてはいけません。

 皮は使っているうちに汚れがついてきますが、時々固く絞った布などで汚れを落と して風通しの良い所に置いておきましょう。皮自体に油脂分が有りますので、余程の 事が無い限り油を塗ったりする必要は有りません。また、緩んでしまった皮を一時的 に張らせるために、炎天下で水を吹きかけたりするのを見た事のある人もいると思い ますが、これは窮余の一策というやつで、皮がそんなに痛んでいないなら早く張り直 したほうがいいでしょう。この時、水を一升瓶に入れておいて、それを口に含んで吹 きかけたりするものだから、「酒を吹くと良い」などと思っている人も結構いたりし ます。でも、皮にとってアルコールは厳禁です。絶対にやらないで下さい。
太鼓のメンテナンスやバチの扱いについては、「川田太鼓工房」のホームページのQ&Aに詳しく書かれているので参考にして下さい。また、 「火の太鼓」のサイト、特にその中の「太鼓コミュニケーション広場」には色々な情 報が有り、とても参考になります。楽しいコーナーもたくさん有るので一度覗いてみ ることをお勧めします。

 今回は、メンテナンスに関してだけになってしまいましたが、次回、「練習台の作 り方」について解説します。私自身、練習場所や楽器で苦労しましたので、15年位 前に考え工夫を加えて、現在は道場での練習には欠かせないものになっていますが、 大奮発して画像付で解説しようと思っています。どうぞご期待下さい。(今月末に更 新の予定)

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第5回「練習台の作り方」

 今回は練習台の作り方を説明します。これは私が15年位前に考え出した物です が、ここに到るまでに随分色々な物を作っては壊しました。最初はドラムの練習台を 参考に、板にゴムを貼り付けパイプで足を付けるようなことを試しましたが、ドラム と違って和太鼓のインパクトは非常に強く、半年もすると壊れてしまいます。板のフ チにはゴムホースを巻き付け、打面にはシリコンゴムなども塗布してみましたが、特 に初心者の練習に使わせると2~3ヶ月で壊れてしまうこともあり、とても実用にな りませんでした。
 そこで考えついたのがタイヤです。古タイヤはどこでも処分に困っているのでタダ で手に入ります。古タイヤを太鼓の練習に使うことはお囃子の会などが既にやってい ましたが、そのままか縄を巻きつける程度で、太鼓を実際に打つ感触とは程遠い物で した。そこでガムテープで打面を作ることを考えついた訳です。これでかなり本物の 太鼓に近い感触が得られました。次は台です。タイヤの隙間の部分を利用し、丸椅子 の足を利用しキャンプ用の椅子に取り付ける形にたどり着いたときは我ながら感動し てしまいました。
 学校のクラブなどでは、自分専用の物を自分で作らせると良いでしょう。家でも練 習できますし、何より自作の物は大切に扱います。

① 先ず、古タイヤとガムテープ、丸椅子とキャンプ用の椅子を用意しよう。
 かかる費用は3千円~5千円位。まず、タイヤ店かガソリンスタンド、タイヤ交換 サービスをしているホームセンターなどで軽自動車の古タイヤをもらってきます。軽 自動車のタイヤはちょうど1尺5寸の太鼓の大きさになります。普通車のタイヤは 思った以上に大きいので、軽自動車の物が一番使いやすいと思います。
 次に丸椅子は、9百円位で売っている物で充分です(写真参照)。キャンプ用の椅 子は、背の部分が縦でなく横に張ってあり上に隙間のあるものを手に入れて下さい。 これも千九百円位で売っています。後はガムテープですが、布製の物であれば大丈夫 ですが、たまに特売品で粗悪な物があります。梱包には充分なのですが、糸目があま りに荒い物は敗れやすいので出来れば糸目の細かい物を選びましょう。私は丈夫さと 張りの良さで半透明タイプの物を使っています。少し高くつきますが、これで上手に 張るとかなり本物に近い感触が得られます。写真では半透明のガムテープを使って説 明します。

② 最初は強めに張る。 
古タイヤは汚れていることが多いので、中性洗剤などで汚れを落とし充分に乾かし て水気を切っておきましょう。汚れや水気が残っているとテープが良く着きません。
 先ず、張ろうと思う反対側からテープを回し、タイヤが少しつぶれるくらい引っ 張って張ります(写真①)。張ったテープを指ではじくとピンピンと軽い音がする 位です。
 次に、十字の方向に交差するように張ります。この時、最初に張ったテープと同じ くらいの張力になる様に張ります(写真②)。さらに同じ様にして八方向へ張りま す(写真③)。この段階で張りの強さが決まってしまいますので、なるべく均等 に、タイヤが全体にゆがまないように気をつけます。ここでテープの交差した中央を 指で弾くとポンポンと高い音がするはずです。



写真①

写真②

写真③

③ 後は、丁寧に張る。
 後は、丁寧に重ね張りをしていきます(写真④)。この時テープは5ミリくら いづつ重なるように張っていきますが、決して強く張ってはいけません。これ以降は 強く引っ張ると最初に張ったテープがたるんでしまいテープが密着しなくなるので強 度が弱くなります。しわが出来たり空気が入らないように丁寧に張れればOKです (写真⑤)。


写真④

写真⑤

④ 方向を変えて。
 次に方向を変えて同じ様に重ね張りをしていきます(写真⑥)。なぜ方向を変 えるかというと、布テープには布目があるので、同じ方向で重ねていくと布目がそ ろってしまい、切れやすくなります。方向を変えることで布目が交差し強度が増すの です(写真⑦)。


写真⑥

写真⑦



⑤ うまく出来れば楽器としても使える。

 4枚くらい重ね張りできたら、ヘラ等を使って中央から外へ向けてしごき、空気を 追い出します(写真⑧)。空気の入ったところは破けやすくなりますから、空気 を追い出しテープ同士を密着させることで強度が増し、弾力も出ます。この段階では かなり太鼓に近い音がします。本物に比べれば音量は少ないですが、楽器としても使 えるくらいです。ただし、4,5回の演奏にしか耐えられないかもしれません。

写真⑧



⑥ 練習用には、もっと貼る。
 練習用には強度が必要ですから、さらに重ね張りしていきます(写真⑨)。も ちろん方向を変えていくことは言うまでもありません。8枚から12枚位重ねます。 これだけ重ねると音は低くあまり響かなくなりますが、丈夫で適度な弾力のある練習 台の完成です。


写真⑨


⑦ 後は仕上げを。
 側面をガムテープで止めます(写真⑩)。ここから剥がれて張りが緩むことが あるのでガムテープで2周くらい巻いてとめます(写真⑪)。ここまで所要時間 は1時間程度。もちろん慣れの差はありますが。これで道具はそろいました(写真 ⑫)。


写真⑩

写真⑪

写真⑫

⑧ これは便利だ!
 先ず、タイヤの溝に丸椅子の足を入れます(写真⑬)。この時、椅子の足が テープを貼ったところに行かないように気を付けて下さい。張りが緩んだり、テープ を突き抜けて破いてしまいます。キャンプ椅子の背もたれに取り付けて完成です(写 真⑭)。タイヤの重みで止まるので簡単に高さの調節が出来ます。もしすべる様 なら、背もたれの金属部分に滑り止めのテープを貼ります。ガムテープ(布製の半透 明でない物が良い)を貼るだけでも効果があります。


写真⑬

写真⑭
⑨ こうやって使う。
 写真⑮は、折り畳台に置いて打つ形で、盆太鼓の練習などに。写真の姿勢は 「太鼓講座第2回」の「応用打法」の(2)の側面から打つ姿勢です。
 写真⑯は、高くセットして正面から打つ形。「応用打法」の(2)の正面打 ちや、(3)の補助的な練習に使えます。
 写真⑰は、「応用打法」の(1)の平置き台の形。この場合、残念ながら高 さの調節は出来ません。 側面をガムテープで止めます(写真⑩)。ここから剥がれて張りが緩むことが あるのでガムテープで2周くらい巻いてとめます(写真⑪)。ここまで所要時間 は1時間程度。もちろん慣れの差はありますが。これで道具はそろいました(写真 ⑫)。


写真⑮

写真⑯

写真⑰

太鼓はまだまだ高価な物で、初心者が力まかせに打ったりすると皮の痛みが早く寿 命を縮めてしまいます。練習台で充分練習を積んでから本物の太鼓で練習をすること をお勧めします。
 また、音の問題で中々思うように練習できない方もいらっしゃるでしょう。大勢で 練習するのに太鼓の数が足りないグループもあるでしょう。この練習台がそのような 方たちに有効に利用されることを願って止みません。

 以上、練習台の作り方と使い方について解説してきました。私としては、かなり丁 寧に説明したつもりですが、もし「うまく出来ない」「使い方が今一解らない」など 疑問点がありましたら掲示板などに書き込んでください。出来る限り丁寧にお答えし ます。また、もっと良い作り方や使い方がありましたら、お教え下さい。太鼓を愛す る者の共通の悩みだと思いますので、情報を分かち合えたらと思います。

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